昨日に引き続いて、アランのプロポ「三つの対神徳」からの引用。
信念は希望がなければ先にはすすめない。登山家が遠くからエヴェレストの最初の斜面をながめたとき、すべては障害だった。通路を発見したのは、すすむことによってである。これゆえに、まえもって遠くから、これこれのものが意欲にとって障害になるだろうと決めてかかるのは、意欲することにはならない。道はふさがれていると思いながら試みるのは、試みることにはならない。だから、発明家や改革者は、まず山の周囲をまわり、さまざまな峡谷を通ってできるかぎり遠くまで前進し、最後には通路を発見するのである。なぜなら、われわれにとって味方でも敵でもない、無関心な多種多様な事物のなかには、かならず足がかりになる好機や場所が見つかるからだ。そして、語の普通の意味において、ことをまえにしてのこの徳は、まさに希望なのである。
cf. アラン(山崎庸一郎訳)『プロポI』(みすず書房、2000年)、p.p. 218-219.
投稿者 Vapor Trail : March 10, 2004 09:58 PM