諸行無常。すべては過ぎ去る。これはもちろんある種の哀感を帯びた言葉ではある。だがだからこそ現にある憂うつな状態から救われることもある。過去も未来も存在しない。存在するのは現在だけだ。これはストア派の賢者の教えである。彼らはそう考えることによって自己の心を保つことが出来た。
それは凡人には難しい。そうかもしれない。しかしどんな人にも、今まさにしなければならないことがあるはずだ。それを行え。そうすれば、気分が少しは晴れる。正確に言えば、自分のことばかり思い悩まなくて済む。つまり癒される。
時間が有り余っている人に必要なのは、それゆえ、強靱な精神力である。しかしそのようなものを持ち合わせる者はどれほどいるのだろうか。