February 20, 2004

惰性との闘い

惰性に身を委ねる・・・この世では凡てが惰性で動いている・・・従って、凡てが意志に対立する。そうとすれば、我々が生きる為に果たすべき本質的な部分は闘いにある。それは絶えず更新していくことであり、瞬間毎に創造していくことである。
 二宮正之篇『森有正エッセー集3』ちくま学芸文庫、1999年、p. 398、からの引用。彼の1965年3月18日の日記の一部である。  これはアランの言う、自分の自分に対する闘いと同じことだと考えてよさそうである。とするならば、人は自己のうちに惰性で動かされる部分を持っているということになりはしないか。惰性に流されることは非難の対象となり、その非難は流された人全体に向けられる。それゆえ、流される自己は確かに自己である。しかしそれははたしてどのような意味で自己なのだろうか。 投稿者 Vapor Trail : February 20, 2004 10:56 PM