アランのプロポ「意欲と行動」より。
人間は欲するまえに行動するということは、子ども時代を見れば自明の理である。人間は世界に投じられるとすぐ、世界のなかを泳ぐ。しかも気づいたときにはつねにそこに投じられているのであり、いくらもがいてもそこから身をもぎ離すことはできない。・・・
ことは実行に移そうではないか。最良の着想といえども計画倒れになり得るからである。計画を操舵することはできない。ところが、ひとはそれができると信じている。まだ後悔していないのに修正を加える。はじめるまえに終わらせようとする。なんども揶揄されてきた管理精神とは、けっして船を進水させることのないきわめて慎重な精神である。きわめて見事な船なのに。
cf. アラン(山崎庸一郎訳)『プロポ2』(みすず書房、2003年)
投稿者 Vapor Trail : October 11, 2003 10:59 PM