October 03, 2003

入門書

 小泉義之『レヴィナス——何のために生きるのか』(NHK出版、2003年)を読了。副題に示されている問いに答えるべく本書は三章からなっている。第一章で「自分のために生きる」考えの行き詰まりが指摘され、第二章で自分のために生きるとは「他者のために生きる」ことであると答えられる。それでも死んでいくことへの答えとして第三章で「来るべき他者のために」生きて死ぬという次元が開示される。
 よい入門書とはまず第一に面白いこと、そして第二に、かつ、最も重要なのは論じられている事柄をより深く知りたいという欲求を読者に引き起こすことである。本書は、少なくとも私自身には、どちらも満たしているものとして映じている。

投稿者 Vapor Trail : October 3, 2003 10:24 PM