January 26, 2004

「食堂のにおい」

 アランのプロポ「食堂のにおい」を読む。
 学校のであれ、修道院のであれ、食堂には共通のにおいがあるとアランは言う。それを知らない者は善良な市民であろう。しかしそれを知っている者は、「秩序や規則といったものを好ま」ない。彼らがいつも「法や規則に対し、礼儀に対し、道徳に対し・・・いきり立っているのが見られる」。
 考慮すべきはアランの分類の是非ではない。分類の基準となっている「食堂のにおい」である。食堂のにおいを知っている者が「法や規則に反抗」するのは、それが法や規則の象徴だからだろう。食堂では秩序が最も重んじられる。座るべき位置が決まっている。目上の人が来るまでは食べてはいけない。そういったところであろうか。
 嗅覚という感覚の情動への近さ、あるいは密接さをもこのプロポは明らかにしている。食堂のにおいを知っている者は規則や礼儀に対していきり立つ。この怒りが場合によっては正義へと引っ張っていくことも大いにある、「綱の端を引っ張る疑い深い犬のように」。

投稿者 Vapor Trail : January 26, 2004 10:12 PM