December 13, 2003

理論

 最近(と言っても2、3週間前だが)、書評で見たジョナサン・カラー(荒木映子・富山太佳夫訳)『文学理論』(岩波書店、2003年)を読み始める。「理論とは何か?」と題する第1章では、フーコーとデリダを実例として「理論」について説明している。自然と考えられているものが、実は歴史と文化の産物であることを暴く言説で、多くの分野にとって論ずべき対象の分析に有効な武器となりうるもの、といったところが要点であろうか。そこに自己言及的、という要素が加わる。それゆえそれは自己増殖する。現代思想の書物が氾濫するはずである。
 本書もその一つではあろうが、しかし「理論はマスターなどできるものではない」と言い切るところは、大変正直でよろしい。

投稿者 Vapor Trail : December 13, 2003 10:21 PM