December 08, 2003

戦争の原因

国々にとって公私いずれの面でも害悪が生じるときの最大の原因であるところのもの、そのものから戦争は発生するのだ。
この言葉はプラトンがその著『国家』において述べている戦争の原因である。そしてこの「最大の原因」とは
必要なだけの限度をこえて、財貨を無際限に獲得することに夢中になる
ことだと言われている。  では、戦争を避けるためにわれわれは欲望を制限しなければならないのか。おそらくそうなのだろう。だがプラトンは欲望を制限しなければならないのは、国の為政者に限っていることは知っておいてよいだろう(ただし、個人の生き方としては別である。あくまで国のレベルである)。
 あるいは古くさい話だと思われるかもしれない。だが現在の世界をただ一国のみが牛耳っていると言うことができるならば——その国は最も強大な軍事力と経済力を持ち、地球環境などにはいささかも関心を示さず、ただひたすら富の獲得のみを目指している——、このプラトンの言葉は大きな意味を持つものとしてわれわれに迫ってくる。

cf. 『国家』373e、岩波文庫の藤沢訳より引用。

投稿者 Vapor Trail : December 8, 2003 11:46 PM