森有正「アリアンヌへの手紙」から引用。
過去に支えられた可能性、それこそが本物の可能性なのだとわたくしは思う。なぜならその場合には、前に飛び出すための跳躍台になりうるものが一杯に詰まっているからである。全くの中立状態にある可能性は、無限に適応できるように見えるけれども、実際には真の適応性が欠けているのであり、何の役にも立たない。過去に戻るということはこの自由な適応性を組織することなのである。
cf. 二宮正之編『森有正エッセー集成4』(ちくま学芸文庫、1999年)、p. 435。
投稿者 Vapor Trail : April 26, 2004 10:55 PM