December 30, 2004

『プルターク英雄伝(三)』「ペリクレース」より

徳のある人の振る舞いは、他所の人々に感嘆されるというよりは、寧ろその日常生活が親しい人々に感嘆されるものなのである。
 似たようなことはプラトンも語っている。人々が羨む僭主の日常生活をよく知る人こそ、僭主の幸不幸を知ることができると。  人は他人の評判を気にし、社会的評価を求める。それらは強い酒なのだろうか。人を酔わせ、判断力を失わせる。しかし立派に見えるからといって本当に立派であるとは限らない。立派であると判断できるのは、そういった強い酒を飲んでも酔わない人なのだろう。そして酔わないことそのものは立派さの徴である。

『プルターク英雄伝(三)』(河野与一訳)岩波文庫、1953年、p. 15.

投稿者 Vapor Trail : December 30, 2004 05:45 PM