October 09, 2004

『常用字解』より「才」

象形。・・・才は聖化され、神聖なものとしてあるというのがもとの意味であり、才は在(ある)のもとの字である。・・・のち聖器としての小さな鉞の頭部の形(士)を加えて在となり、子を加えて存(ある、いきる)となる。存在とは、神聖なものとしてあるということである。

 この思想は西洋の古代にも通ずるものがあるように思われる。
 ストア派は哲学を「論理」「自然」「倫理」の三部門に分けたが、その中でしばしばもっとも重要と考えられた「自然」に関わるものの奥義は「神学」と呼ばれた。「倫理」が当為を「自然」が存在を探究するのであるから、存在は神的なものと見なされていたと言えよう。プラトンのイデアも神的なものだと言えるし、アリストテレスの神は最高の存在であった。
 破壊と殺戮の充満する世界は、存在の神秘性を拒否しているのであろうか。

投稿者 Vapor Trail : October 9, 2004 06:34 AM