August 28, 2004

『磁力と重力の発見』

 山本義隆『磁力と重力の発見1──古代・中世』(みすず書房、2003年)を読了してから、早くも5週間が経ってしまった。
 海外出張の間に、2巻と3巻を読み終わった。朝起きて読み、夜寝る前に読んだ。近代科学成立の前史を描いたこの書には、知らない話が多く、興味深かったからである。
 多くの賞を受賞したこの3巻本の内容の素晴らしさについては、ここで言うまでもないだろう。ただ感想を述べることが許されるならば、筆者の歴史に対する評価のバランス感覚が見事であると言いたい。
 科学を学ぼうとする人の必読文献ではないだろうか。いかに人々の考えがゆっくりとしか変わらないものなのか。いかに多くの人の努力の蓄積の上に今があるのか。そういったことを学ぶことができるのだから。

投稿者 Vapor Trail : August 28, 2004 10:38 PM